給湯器とは|電気・石油・ガス給湯器の違いについて解説

給湯器とは(性能や仕組みを知る)

給湯器とは、水を温めてお湯を供給する住宅設備機器のことです。給湯器は、主に電気、ガス、石油などのエネルギーを使用して水を加熱し、台所やシャワー、風呂などでお湯を使用できるようにします。給湯器の種類は、主に以下の3つに分類されます。


イメージ種類説明
ガス給湯器ガスの燃焼により瞬間的にお湯を沸かし、給湯を行う機器。給湯専用タイプ、追焚き付きタイプ、高温水供給式タイプなどがあります。
電気給湯器電熱ヒーターを用いて直接的に水を加熱し、お湯を供給する機器。電気温水器とエコキュートに分けられ、電気温水器は電熱ヒーターで直接お湯を作るのに対し、エコキュートは大気中の熱を利用してヒートポンプでお湯を作ります。
石油給湯器石油を燃料として使用し、お湯を供給する機器。

給湯器は、お湯を作る方式や機能によって、ランニングコストや利便性が異なります。例えば、ガス給湯器の中でも、排気熱を再利用して効率よくお湯を作る「エコジョーズ」は、光熱費と環境負荷を抑えることができます。給湯器を選ぶ際は、燃料の種類、設置場所、必要な機能、予算などを考慮し、自分の生活スタイルに合ったものを選ぶことが大切です。

ガス給湯器とは

ガス給湯器でお湯を沸かす仕組みについて

ガス給湯器でお湯を沸かす仕組みについて説明します。ガス給湯器は、水道管から流れてきた水を瞬時に加熱してお湯にする機器です。その仕組みは以下のようになっています。

  1. 蛇口をひねると、給湯器内に水が流れ込み、水流スイッチが作動します。
  2. ファンモーターが回転し、ガスを燃焼させるために必要な空気をバーナーに送ります。
  3. イグナイターが火花を発生させ、ガスに着火します。
  4. 着火したガスの炎が熱交換器のパイプを加熱します。パイプ内を流れる水が熱せられ、お湯になります。
  5. 加熱されたお湯は配管を通って蛇口から出てきます。お湯の温度はガスと水の量を調節することでコントロールされます。給湯器の燃焼は自動的に止まる仕組みです。

このように、ガス給湯器は水の流れをトリガーにして着火し、ガスの炎で水を瞬時に加熱することで、必要な時に必要な量のお湯を供給することができるのです。ガス給湯器は電気式に比べてお湯の沸き上がりが早く、大量のお湯を連続して使える利点があります。一方で常に電源を入れておく必要があり、待機電力がかかるというデメリットもあります。

ガス給湯器でお湯を沸かす基本的な仕組みですが、最近の高効率給湯器「エコジョーズ」では、さらに排気熱を再利用することで効率よくお湯を沸かすことができ、ガス使用量とCO2排出量を大幅に削減できるようになっています。

ガス給湯器で暖房する仕組みについて

ガス給湯器で暖房する仕組みについて解説します。ガス給湯器で暖房するには、給湯器で沸かした温水を利用します。給湯器で80℃程度の高温のお湯を作り、その温水を暖房回路のパイプを通して、床暖房や浴室暖房乾燥機などの暖房端末に循環させます。

暖房端末は温水の熱を利用して部屋を暖めたり、浴室を暖めて衣類乾燥を行ったりします。温水式床暖房の場合、床下に張り巡らせたパイプ内を温水が循環することで、床面全体を暖めます。

浴室暖房乾燥機の場合は、浴室内の放熱器に温水を循環させて浴室を暖房し、温風で衣類乾燥を行います。このように、1台のガス給湯暖房熱源機で温水を作り、その温水を家中の暖房端末に循環させて部屋全体を暖めるシステムを、TES(テス)と呼びます。

ガスを燃料とするためランニングコストが比較的安く、また放射熱と自然対流でじんわりと部屋を暖められるのが特徴です。ガス給湯暖房システムを導入すれば、給湯だけでなく床暖房や浴室暖房乾燥までオールインワンで賄えるため、快適な暮らしを実現できるのです。

電気給湯器とは

電気給湯器(電気温水器)の仕組み

電気給湯器は、電気の力を使ってお湯を作る給湯器です。別名「電気温水器」とも呼ばれています。電気ヒーターを使って水を直接加熱し、お湯にする仕組みになっています。

電気給湯器の基本的な仕組み

電気給湯器は、金属に電気を流すことで電熱ヒーターを発熱させ、その熱で水を温めてお湯を作ります。一般的に、沸かしたお湯は貯湯タンクに貯めておき、使うときまで一定の温度に保温します。電気ポットと同じような仕組みと言えるでしょう4。電気給湯器には主に2つのタイプがあります。

  1. 貯湯式:お湯を貯湯タンクに貯めておくタイプ。夜間の安い電力を使ってお湯を作り、日中に使用する。
  2. 瞬間式:必要な時に瞬間的にお湯を沸かすタイプ。貯湯タンクがないため、設置スペースを取らない

電気給湯器のメリット

  • 電気を使うため、ガス給湯器のように一酸化炭素中毒や不完全燃焼のリスクがなく安全1
  • 深夜電力を利用すれば光熱費を抑えられる
  • お湯の温度や湯量を自動コントロールできる機種もある

電気給湯器のデメリット

  • 貯湯タンクの設置スペースが必要
  • 初期費用がガス給湯器と比べると高い
  • 貯湯式の場合、お湯を使い切ると湯切れしてしまう

電気給湯器は、電気の力だけでお湯を作る仕組みのシンプルな給湯器です。ガスが使えない場所や、光熱費を抑えたい場合に適しています。設置前に、電気給湯器の仕組みやメリット・デメリットをよく理解し、自宅の環境に合うかどうかチェックしておくことが大切ですね。

石油給湯器とは

石油給湯器(灯油給湯器)の仕組み

石油給湯器は、灯油を燃料としてお湯を沸かす給湯器です。その仕組みは、灯油の燃焼方法によって大きく2つに分けられます。

噴霧式の仕組み

噴霧式では、灯油をノズルから霧状に噴き出して燃焼させます。この方式は従来から使われている方法で、すぐにお湯を沸かすことができるのが特徴です。

気化式(ガス化)の仕組み

一方、気化式は内蔵された気化器で電気ヒーターにより灯油をガス化し、そのガスを燃焼させる方式です。噴霧式と比べて熱効率が高く、燃焼音も小さいのが利点ですが、お湯を沸かすまでに予熱時間が必要となります。

熱交換器でお湯を作る

石油給湯器は、この燃焼した熱で熱交換器内の水を加熱し、お湯を作ります。熱交換器は水の入った金属製の配管で、燃焼熱により素早く温度が上昇するため、必要な時にすぐにお湯を使うことができるのです。

貯湯式と瞬間式の違い

お湯の作り方には、貯湯式と瞬間式の2種類があります。貯湯式は貯湯タンクにお湯を溜めておく方式で、瞬間式は水を通すたびにお湯を沸かす方式です。一般的に、貯湯式の方が本体価格は安いですが、瞬間式の方が省エネ性に優れています。

以上のように、石油給湯器は灯油を燃料に熱交換器でお湯を作る給湯器で、噴霧式と気化式の燃焼方式があります。貯湯式と瞬間式でお湯の作り方が異なりますが、いずれも私たちの生活に欠かせない給湯器と言えるでしょう。

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